2018-02-08

大垣まつり世界のポスター展

岐阜県大垣市、岐阜経済大学の敷地内にある「日本国際ポスター美術館」。

日本で初めてのポスター芸術のための美術館として1996年に開設されました。

以来、「全国高校生ポスターコンクール」や「大垣国際招待ポスター展」など年に4回の企画展を繰り返し、現在収蔵されているポスターは1万点を超えます。


写真左/木龍歩美(日本) 写真右/パトリチア・ロンガワ(ポーランド)

日本国際ポスター美術館では現在「大垣まつり世界のポスター展」を開催中。

こちらの2点が応募総数227点の中から厳選された今年度の優秀賞の作品です。

同館館長であり、大垣まつり世界のポスター展実行委員会委員長の堀冨士夫さんに、委員会の取り組みについてお話を伺いました。

 


—大垣まつり世界のポスター展実行委員会発足の経緯を教えてください。

これまでは「大垣国際招待ポスター展」と題し、世界中の著名なデザイナーから作品を招待するというかたちで21年間続けてきました。そんななか、平成28年に大垣まつりがユネスコ無形文化遺産に登録されたことを受けて、ポスター展を大垣で開催することの意味を改めて考え直したんです。

「大垣の人々にとって、本当に嬉しいことは何か?」

すると、やや足下がおぼつかないように感じまして……。

会場であるポスター美術館が「視覚言語の国際様式の確立」を掲げていることから、「そもそも、ポスターとはどのようにあるべきなのか?」と、ポスターそのものの本来のあり方についても悩みました。

近年はデジタルサイネージ(電子看板)によってポスターのあり方も変化してきていますが、われわれがたどり着いたのが「いい紙に、いい印刷技術で、いい情報を、いいデザインで世界に発信していくこと」だったんです。

 

こうして「大垣まつり世界のポスター展実行委員会」を平成29年5月に発足し、世界各国のデザイナーに呼びかけて大垣まつりのポスターのデザインを募集し、それを岐阜の伝統工芸「本美濃紙」に印刷し、郡上八幡が発祥の印刷技法「シルクスクリーン」で印刷することにしました。

集まった作品は50カ国200点以上。想像以上の方々にご協力いただきました。その中から、グラフィックデザイナーのU.G.サトー氏とタイポグラファーの南部俊安氏をお迎えした審査員で最優秀賞を2点、入選を50点選ばせていただきました。

本美濃紙に印刷したことで、光に透かすとどれもとても美しく、国よって感性が違うのでとてもおもしろいです。こういう捉え方もあるのだなと!

 

—これから委員会ではどのようなことをやっていきたいですか?

ポスター展をきっかけに、世界中から大垣にお越しいただけるような題材にしていきたいです。本物のポスターの存在感はもちろんのこと、今はSNSやウェブもあるのでそういったITの技術もうまく使いながらやっていきたいですね。

今年度は、公共施設や企業等の協力を得て県内6会場で展示を開催し、現在はここポスター美術館でしか展示を見ることができないけれど、来年度は作品をもっと街に出していきたいと考えています。

例えば、LEDを入れてみて夜も楽しめるようにしたり、空き店舗とか商店街のショーウィンドーを利用して、街中でポスターが見られるようになったら楽しいですよね。

 

イメージはあるんです。フランスのショーモンという街で、そこはすごく小さな街なのですが、教会やお店にポスターがあふれているんですよね。大垣でもあんな風景が見られたらいいなあ、と。

もちろん観光というのはもっと広域で捉えられるものなので、大垣に限らず美濃や郡上も含め、世界中の方々が岐阜に興味を持って実際に足を運んでいただければ嬉しいですね。

 

ーご出身地である大垣に対する想いをお聞かせください。

「大垣ってどんな街?」と聞くと、みんな「ふつうの街」って答えるんですよ(笑)。

どの地方都市も疲弊して、コミュニティが空洞化していると言われていますが、「ふつうの街」にも必ずいいものがあるというのを掘り出して育てていくというのが大切だと思うんですよね。

大垣は濃尾平野に代表されるように自然が豊かで、滾々ときれいな水が湧き出ている。松尾芭蕉のおくのほそ道の結びの地であるという文化的な魅力もあり、さらには16万人の人口に対して上場企業が8社もあります。

このポスター展は大垣の企業様にお力添えいただいているのですが、私は本社がその地域にある企業を「郷土力企業」と定義しています。本社が地域にあるということはそこに雇用が生まれます、地域内でお取引先ができるので産業連関が高まる。そして、トップがその土地で育っていることが多いので、地域への愛着があるんですよね。

そして、郷土力企業が多い街は産業連関が高まるだけでなく、街との相互作用がでてきます。企業がイメージアップをすれば、街のイメージアップにつながる。反対に豊かな街の企業はその街に拠点を置いていることがPRになる。

 

われわれはぜひアート活動を通じて大垣の情報発信をしていけたらいいなと思っていますし、まちなかに本物のデザインがあふれている街が理想的です。

20年間ポスター展を続けてきたことと、大垣まつりが世界標準になったことがいいタイミングで重なり、結ばれたことにご縁を感じています。

 

ー堀さん、ありがとうございました!

(平成30年2月5日 日本国際ポスター美術館)

 

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