2018-06-09

世界的デザイナーU.G.サトーさん、南部俊安さんが語る「大垣まつり世界のポスター展」

日本国際ポスター美術館で開催されている「大垣まつり世界のポスター展」の関連企画として、ポスター展の審査員であるデザイナー、U.G.サトーさんと南部俊安さんの公開インタビューが2018年5月13日に行われました。

世界的に活躍されているデザイナーのお二人に、大垣でそろってご講演いただくという貴重な機会。

短い時間のなかで「大垣まつり世界のポスター展」にまつわる様々なお話をいただきました。


司会 本日はお忙しいところお越しいただきましてありがとうございます。まずは、自己紹介をお願いいたします。

U.G.サトー 私は東京生まれ、東京育ち、デザインを始めて50年以上になります。高校時代にフランスのポスター画家、レイモン・サヴィニャックの作品に衝撃を受けてから、おもしろいポスター、びっくりするポスターを心がけてつくってきました。ユーモアの精神で、見てくれた人にちょっとでも笑ってもらえたら嬉しいと思っています。戦争や平和をテーマにすることも多かったのですが、それも怖く見せるのではなくて、見る人を喜ばせたいという思いで描いています。

南部 私はグラフィックのなかでも、文字のデザインをする「タイポグラフィー」が専門です。大阪生まれの大阪育ちで一度は半年ほど東京に出ましたが、すぐに戻って来て、現在も拠点は大好きな大阪です。今でこそ、タイポグラフィーがメジャーになってきていますが、パソコンがない時代は、デザインの中でもとても地味な世界でした。その時代にタイポグラフィーをやるというのはすごく決断力がいることだったのですが、タイポグラフィーをやるということを決めて、何かにつけて文字に帰結するという手法をとりました。

司会 大垣祭を実際にご覧になった印象はいかがでしたか?

U.G.サトー 大垣にはこのポスターの審査を含め、何度も来ているけれど、全然人がいなかったから、大垣祭を見て、こんなに人がいるのかと驚きました。いつもはどこに隠れているの? と思いましたよ(笑)。何度も通っていたので、大垣祭がユネスコ無形文化遺産に登録された時はとても嬉しかったです。大垣では大きな祭でも東京のほうだとあまり知られていないんです。だから、大垣祭の象徴である軕というものを大きく使って、普段は複雑なものは書かないのだけれども、大垣祭のモチーフも小さくいれてみました。久しぶりに細かい絵を書いて楽しかったです。

南部 大垣ってとても道が広いのに人通りが少ないですよね。審査に来たときは夜だったので特に人が少なかったんです。だから、昨日案内していただいて驚きに驚いたという感じです。若い方が多いですね。駅前通りにはLEDに照らされたポスターが展示されているのがとても印象的で、通常とは違う表情が見えるのがいいなと思いました。

 


(パトリチア・ロンガワ(ポーランド)/写真左・木龍歩美(日本)/写真左)

司会 大垣まつり世界のポスター展を審査してのご感想をお願いいたします。

南部 今回のポスター展では、200点以上のなかから50点を入選というかたちで選ばせていただきました。すごくおもしろかったです。こんなに有名な世界のデザイナーたちの作品が見られるというのは世界でもなかなかないような試みで、世界トップクラスのデザイナーと一般のデザイナーが争うというのはすごいことだと思います。まさに激戦でした。私が推薦させていただいたのは、木龍歩美さんのタイポグラフィーの作品、U.G.先生がご推薦されたのが、からくり人形をモチーフにしたパトリチア・ロンガワさんの作品です。木龍さんは「キコリフォント」という図形的なフォントを開発されており、今回受賞のポスターはこのフォントを発展させたデザインだと思います。パトリチアさんの作品は、日本人でも着目しないようなポイントをモチーフにして作品されていることに感心しました。

司会 本日は商店街を代表して、金蝶園総本家の北野さんにもお越しいただいております。北野さん一言お願いいたします。

北野 大垣祭の時期は、今ポスターが展示されている駅前の大通りは、たいてい自転車置き場になってしまっていました。今回は「大垣まつり本美濃紙ポスターあかりアート展」をやるということでとてもありがたく思いました。始まった途端に、他の町内の方にもうちでもやってくれと言われたくらいです。通りかかった方はみなさん立ち止まって写真を撮って行かれます。東京の方から大垣出身の方がいらした時に、大垣が格調高くなったという声も聞きました。ちょうどイベントができればいいなと思っていた矢先にこういったことが実現して嬉しく思います。

司会 ここに至るまでに、日本国際ポスター美術館は「ポスターはストリートアートだ」という強い志を掲げて活動してきました。アートディレクターの加藤先生、一言お願いします。

加藤 ポスターは本来美術館にあるのではなくて、街にあるべきものだと思うので、そういう意味で街にポスターが飾られ、多くの人にご覧いただけるということは、ポスターが持っている役割が発揮されているところに今までにない躍進があったのではないかと思います。ポスター美術館は世界のポスターを収集して、世界に通用する美術館を目指してきました。今日は世界的なデザイナーさんのお話が聞けることに感謝したいと思います。

司会 日本国際ポスター美術館館長の堀さんからも今回の企画に対する思いをお聞かせください。

 20数年前にとあるポーランドのポスターをご紹介いただいてから、そのご縁で世界中のアーティストと知り合って、2年に1度の世界のポスター展が始まりました。現在は1万点ほどの作品を収蔵しています。「日本国際ポスター美術館」の英語名をOGAKI POSTER MUSEUM,JAPANとしています。海外では地方も東京も関係なく、OGAKIから直接世界に結ばれようという思いで名付けています。認定NPOという公的にも認知される団体にもなってきました。でも、なかなか市民にポスターアートが定着していません。そこで、大垣祭がユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、世界中のデザイナーに大垣祭のポスターをデザインしてもらおうということになりました。さらに加藤先生のアイディアで同じユネスコ無形文化遺産の本美濃紙に印刷することに。そして、美術館に来てもらうのはなかなかハードルが高いということがわかり、自分たちが出向こうということで、街のなかにもポスターを展示することにしました。最終的には大垣がポスターの街として認識されるとよいと思います。今日は世界のお二人に来ていただいて感激しております。

司会 最後に質問のお時間に移りたいと思います。

質問者 今回大垣祭がユネスコ無形文化遺産に指定されて、世界のものとなりましたが、世界では大垣祭がどのように受け止められているのでしょうか?  審査されて感じたことをお聞かせください。

U.G.サトー 大垣のこのポスター展は世界にきっと響くだろうと思います。本当に有名な方が毎年毎年ポスターを送ってくださるのはすごいことです。ポスター美術館の姿勢が伝わったではないでしょうか。人数がそれほど多くない分、カタログに堂々と載せていただけるというのは強みだと思います。大垣祭りがビジュアルで広がっていくというのは素晴らしい。大垣がビジュアルの中心になるという気さえしています。

南部 これまでのポスター活動の積み重ね、思いが結実して形になったというのが感じられました。これほど素晴らしいデザイナーたちの作品が一度に見ることができるというのは、贅沢すぎるくらいです。世界に発信していくことはもちろん重要ですが、日本国内にももっと発信していけたらよいと思います。日本のマスコミにアピールすれば、大垣でこのような試みがあるというのはとても新鮮に感じてもらえると思います。

司会 本日は短い時間でしたが貴重なご講演をありがとうございました!


大垣まつり世界のポスター展審査員プロフィール

U.G.サトー
日本のみならず、世界が認めるグラフィックデザイナー。ポスターはもちろんイラスト、企業のロゴやパッケージ、ラベル、立体作品、絵本などその活躍は目覚ましい。『フクシマ』など、デザインを通した社会へのパフォーマンスにも目を見張るものがあり、ぱっと見ただけで瞬時にメッセージを強烈に焼き付けるグラフィック・マジックで、世界中を驚かせている。

南部俊安
秋田県立美術館をはじめ、今話題のあべのハルカス美術館のブランディング開発やグラフィックデザイン全般に携わる。デザインの自立を考え、積極的にソーシャルなテーマを表現した作品展を開催し、大阪のデザイン界を牽引してきた一人。永続的にコミュニケーションを育てていく、つまり、デザインという感性によって伝えられるメッセージは、国境を越えて広がっていくという哲学を持ち、社会貢献と人々の心と生活を豊かにするデザインを目指し活躍中。

 

 

 

 

 

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